連盟の重圧を一蹴し
世界列強を指導せよ

大衆、公会堂を埋め殺気漲る

本社主催 時局問題大演説会

本社主催「対連盟中部日本国民大会」は会場名古屋市公会堂大ホールが正に灼熱せんとする勢いで16日夜催された。 遠く北陸から滋賀から静岡からと繰り込んだ人々は午後3時すでに会場に殺到し、一時間にしてすでに満員となり、刻々とつめかける人々で会場各階立錐の余地なく、廊下といわずステージといわずぎっしりとつまって暴戻支那に対する憤りの湧きたつ様は物すごい有様で、会場まさに爆発せんとする拍手に、定刻六時小林本社副社長の開会の辞でここに我等が正々堂々の主張を中外に宣言し、ついで大演説会にうつり、小泉六一中将は破れるような拍手をあびて登壇し「満蒙問題に対する国民の覚悟」と題し二時間にわたり大雄弁あり、ついで中野正剛氏、例のけいけいたる眼光をひらめかせて壇上に現われると会場は遂に殺人的の空気でみたされ「国際連盟に対し満蒙の認識を求む」の中野氏一流の大獅子吼を一語ももらさじと七千余の聴衆はきき入った。

東洋平和のため

満蒙を死守せよ

陸軍中将 小泉六一氏

満州問題に関しては目下国際連盟においてかれこれ言われているが、言論は彼らの勝手である。 諸君の印象を深からしめんために結論から申し上げたい。 満蒙は如何なることがあっても絶対に手放すことはできないというのがそれである。

その理由は、満蒙を手放しては東洋の平和を保し得ないからである。 このことは日露開戦当時の明治大帝の御詔勅を排すれば、おのずから判明する(と当時の御詔勅を朗読し)遼東半島を永遠に日本が保有することは東洋平和の確保のためであったが、三国干渉あり、その後ロシアと戦って大勝を博したので、東洋平和を確保するの地は満蒙がこれに代ったのである。

日本はいつでも自由にここに力を出すの要素を貯えておくことが必要である。 今の状態では敵の飛行機が容易に東京その他日本各地に襲撃し得るのである。 高射砲で打てばよいと考えられるか知らぬが、高射砲の命中率は世界大戦の統計によると、7万発打って一つの飛行機を落したに過ぎない。 現在では高射砲術の発達により大体三百発について一発の命中率にまで進んだが、飛行機を根本的に撃退するわけにはゆかぬ。 それよりも敵の根拠地を黒竜江の奥地に置かしめたならば安全である。

歴史上からみた満蒙は当然日本の領有すべきものである。 すなわち日露戦争で日本のものになったものであるが、三国干渉で支那に帰したが、一度は日本の所有になったものである。 最近支那は二十一ヶ条約は日本が武力で締結したのだから無効だと主張しているが、この理論で進めば三国干渉は武力による仲裁であったから無効であって、遼東半島は日本の領地だということができる。

その満蒙は我が先輩十万の人血を流し、二十億の資を投じて今日の平和と繁栄を見ているではないか。 支那全土は苛斂誅求のため国民が苦しんでいるのに、独り満蒙のみ平和の楽園であり、年々百万人の支那人移住を見ているのである。 この立派な東洋の一大楽園を、勝手な支那人の主張によって支那人に返すがごときは、絶対不可能である。 これ私が最初に申しあげた結論である。

しかし日支共存共栄を切望するがため、支那の国力充実し、和平統一が達成すれば、喜んで満蒙を返すに躊躇せぬものである。 しかるに昨年来支那はことごとくに日本を敵視し、現在三百数十件にわたる外交問題の停滞を見ている状態である。 かくのごとき折から満鉄を破壊した支那の暴逆な態度に対し、自守的行動に出たのは当然のことであり、むしろ遅きに失すると思う。

ところが思いがけなく国際連盟なるものが横の方から飛び出してきて支那に味方し、日本を不利に陥いれんとしつつある。 殊に支那については幾多苦い経験をもつイギリスが、徹頭徹尾支那を支援し、フランスのブリアンもまた支那を援助し、連盟の権威を傷つけているのである。 支那に我々が駐屯軍を置いているのは、支那の国情が外国人の生命財産を保護する実力がないからである。 この実情を識りながら、撤兵を主張するのは、我国の発展をうらやみ牽制しようというにほかならないのである。

我々は帝国のために断乎として邁進し、連盟を気遣することは絶対無用である。 連盟は三度開かれることになったが、今回は世界的人物の集りと聞く。 しかしその会場には大きな満蒙の地図を掲げて説明準備を整えているそうだが、今頃になって世界地図の研究に浮き身をやつす代表者は小学児童にも劣った鼻たれ小僧である。

彼らは日本を経済封鎖すると脅かしているが、経済封鎖結構、日本が物資の窮乏に困るより以上に、相手は物資が売れんので困るにきまっている。 物資は需要供給の原則により、経済封鎖なんか実現不可能である。

撤兵第一主義の支那は飽くまで我国の撤兵を慂慫しているが、条約の上には勿論、満蒙の現地にその誠意が具現せぬ以上、絶対に撤兵してはならない。 由来日本人は熱しやすく醒めやすいが、この緊張を永続せしめねばならぬ。

日本は世界の王者

経済封鎖なんぞ恐れん

代議士 中野正剛氏

国際連盟における列国使臣たちの言論を新聞紙上でみれば、彼ら大政治家が如何に満蒙問題に対して無知であるかがわかる。

それは我国の駐外使臣の主張が十分でなかったからである。 わが歴代内閣は外交において失敗してきた。 幣原外交は定石外交である。

世界が無事平穏、各国とも紳士的であればそれでよい。 しかし世界の各国は武装せざる戦時状態にある。 ジャズの騒音裡の外交を、白扇で謡曲を唄う式の外交で間に合うと思うか。 フランスは欧州戦争の結果、大陸の勝利国となった。 イギリスはこれに対して好感をもたぬ。 イギリスは欧州戦争でアメリカを利用して勝手にドイツを倒しながら、フランスを牽制したが、今日のイギリス外交である。

フーヴァー大統領のモラトリアムについてドイツは彼らの慈善心を笑い、彼らの黒い腹の中を突いている。 フランスは金融的武装を行って、イギリスに対して金輸出禁止のやむを得ざるに至らしめ、もって大英帝国をして世界金融界の伝統的誇りを失わしめた。 アメリカは世界の半分の金を独占し、フランスは残りの半分を占め、世界各国はこの残り、すなわち四分の一の金でやってる故、金の恐慌が来るのは当然である。

日本は最近人的要素で優秀となった。 しかしその進出の道は総て妨げられている。 すなわち日本は満蒙、南洋、豪州に進出せねばならない。

支那の外交は日本の外交より世界の外交に鋭敏である。 蔣介石は我国で教育を受け、ロシアに至り訓練を受け、今日ロシア式の軍隊を組織している。 彼は新興資本主義の勢力を持ちながら、表面共産式の戦いをし、一時は支那のナポレオンとまでいわれ、いわゆる連露擁共式の戦術でやり、連戦連勝して来たが、一度長江筋にまで到るや、たちまち堕落し、彼らはロシアを袖にし、アメリカと手を握り、我に対し不平等条約撤廃、帝国主義打倒をモットーに局面を代えてきた。

彼らは打倒帝国主義というが、帝国主義とは日本のことであると信じている。 帝国主義による支那の侵略は、阿片条約にはじまる。 印度にアヘンを栽培し、これを支那に輸出させんとしたのはイギリスである。 支那は王侯から苦力まで阿片中毒者で一杯であり、この阿片を売るのがイギリスである。 イギリスは支那に毒塵を売ってる。 これを武装兵が護衛してる。 イギリスのみならずアメリカも阿片を支那に売り付けている。 阿片戦争により支那はイギリスと南京条約を結び、不平等条約のはじめとなった。 アメリカまたこれに参加して支那に治外法権を結び、これを始めとしてポルトガルなど進出し、やはり各種の不平等条約を結び、一方ロシアの進出に及び、支那は惨々な目にあった。 これ欧米各国の帝国主義侵略である。

しかし日本は彼らに互して侵略主義を行ったことなく、かえって欧米各国から侵略主義の圧迫を受けたロシアの東侵と相まって、支那は欧米侵略主義の手先となって我に迫った(と日露戦争前後の事情を詳細に述べ)、満州における日本の権益は満州の歴史をみれば明かである。 支那の満州に対する関係は決して彼らの領土ではない。 日露戦争当時、支那は局外中立といったではないか。 満州は自分のものと彼らは昔から思ってない。 そ [□□□□□□□□□□□□□□□] り方は間違っていた。 満鉄併行線を認めるなぞ何事か。 日本は満州に二十億の資を投じ、治安につとめた。 それがために満州の人口は六倍に増加した。 かく繁栄してきた時、支那は急に満州は自分のものだといって来た。

支那は何故イギリスに香港を返せていわぬ。 ロシアにシベリアを返せと云わぬか。 しかるに満州から大恩人たる日本人を排斥するとは何事か。 支那の全土は馬賊、土匪横行活歩している。 治安は全く維持できない。 こんな乱暴な支那に治外法権を撤廃することができるものか。 そんなことをすれば支那には一人の外人も住むことができない。

日本は同情して支那に治外法権の撤廃を助成してる。 満州を我国が確保することはその歴史からみて、東洋平和の上からみても、また国民資源の上からも動かぬ所で、これ日本国民上下一貫せる大方針である。 支那は実力強行により、我が条約を片端から蹂躙し、商租権のごとき当然の権利さえこれを認めない。 支那は全面的排日を起し我に迫って来た。 これ既存条約の廃棄を目的としている。 我にして対支懸案五百余件を解決せんとせば、全面的排日を中止させねばならぬ。 然らざれば満蒙の治安は决して回復されるものでない。 すなわちこれが実現せざるかぎり撤兵は断じてできない。

国際連盟理事会十三ヶ国のうち、考えるべき はイギリスのみである。 他はいずれも問題とするに足らぬ。 ましてアフリカの小帝国ヘチヤールのごとき欧州戦争後、英国の促成した豆のごとき小国じゃないか。 そんなものがいくつあっても何の驚く必要がある。 イギリスは日支紛争のすきを伺い、英支通商の進出をはからんとしている。 アメリカがメキシコに出兵したのに対し、日本が出兵するか、イギリスがエジプトへの出兵に対し日本が出兵するか、日本が欧州に少しの兵を出したとて、アメリカやイギリスが何を好んでこれに出兵す [□□□□□□□□□□□□□□□] すれば気が狂っているとみなければならぬ。

満州におけるわが軍隊の行動は、我々が譲りに譲った結果の出兵である。 シベリアの出兵とは断じて違う。 連盟が何といったって一歩も譲歩する必要はない。 経済封鎖断じて実現せぬ。 日本が苦しむよりアメリカの方が余程苦しむ。 ロシアは西にフランス、東に日本をひかえているから、印度を攻むるが比較的楽である。 しかしこれをせないのは日本がこわいからである。 今日、もし日本が国際的に自由な立場になれば、ロシアはイギリスの国境印度を攻むるに違いない。 これがため早くもイギリスの輿論は日本の立場に同情と理解を持って来たじゃないか。

日本がもしロシアと手を握り、五千万円貸与するごとき風説だに立てば、イギリスは青くなって国家的の大問題となるに決まっている。 吉会線をはじめ商租権などわが対支懸案は遠慮なく実力をもって解決してゆけばよい。 暫定的の名目に全部解決せよ。 他は支那に確固たる国家ができた時、ぼつぼつ話をつければよい。 すなわち現地解決により我が満蒙条約を片端から実現してゆけばよい。 乗るか反るかじゃなくて、乗って乗って乗りまくればよい。

満蒙の重工業は国家産業培養のため、営利経済を離れ、国家的に計画せねばならない。 撫順の石炭のごとき安価なものを日本に持って来ないのは内地の資本家が困るからである。 そんな資本主義的の考えで満蒙経営をやれば駄目だ。 満州の産業経営を日本のプロレタリアによって解決するようにしたい。 資本主義的営利主義的満州経営を廃し、国家主義的にプロレタリア移民により、真の満州政策を実現せねばならぬ。 連盟は我に撤兵を要求する前に、何故支那に対して既存条約実行を要求せないか。 我らは世界の文明人である。 条約の実施により徹底的に我が満蒙特殊権益を主張し、敢て連盟の猛省を求むる次第である。

満場、拍手の嵐に
宣言決議を可決

即時連盟理事会にあて打電す

中部日本国民大会

中部日本国民大会では、富田名古屋市会議長座長席につき、ついで與良本社長主催者の挨拶をのべ、

中部日本国民の意気を中外に宣明するため本大会を開きたるところ、かく爆発的の共鳴を得たるは祖国日本のため喜びに堪えず。

と口をきるや、たちまち怒涛のような拍手湧き起って、大会は活気いよいよみなぎり、

今日この大会の意気はたちまち彼らの耳に入るであろう。 耳に入らしめて徹底的に彼らを反省せしめねばならぬ。

と結んで大ホールわれるような共鳴の喝采をあび、次いで鈴木一氏別項の宣言を、松久好次氏おなじく決議を朗読して、満場一致可決し、直ちにこれはパリの国際連盟理事会ブリアン議長および東京駐在各理事国使臣に打電することを宣言し、なお在満帝国軍隊に本大会の名を以て慰労電報を送ることを付議、可決し、鈴木一氏さらに中部日本各地の団体およびその代表者から送られた祝電を朗読して大会の幕はとじられた。

〔昭和6年11月17日 『名古屋新聞』 朝刊7面〕

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