ナチス張り

赤やエロ本など二万冊の焚書

新栄署特高課が押収したもの
包装紙に生れかわる

ナチスばりの焚書祭(?)が28日夜、名古屋のマン中で行われ、 エロ本や「赤」の書籍がキャラメルの凾に生れかわったという珍らしい話——

新栄署特高課では去る七年以来、風紀壊乱かいらんや思想上の忌諱きいに触れて差し押えた 『犯罪実話』 『ギャング』 『漫談』 その他単行本や雑誌類が無慮むりょ二万冊にのぼり、これを貫目かんめにすると驚くなかれ750貫という大量に達し、この厄介な押収物のため足の踏み所もないありさまとなったので

この始末をつけるべく28日夕方、いずれも麻袋に詰めて二台のトラックに載せ、淺田部長が厳重監視のもとに西区押切町の某紙会社に運搬、ここでナチス張りの焚書祭を行った。 中には相当価値ある珍書も多く、立会の係官も悲壮(?)な感に打たれたが、釜で煮られてドロドロになったこれらの書籍の成れの果ては、なんと子供さんの好物キャラメルを包む凾に生れかわるとのことである。

〔昭和10年3月2日 『新愛知』 朝刊2面〕

目次へ戻る